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2016年度 診療報酬改定 解説レポート
~特別養護老人ホームでの訪問薬剤師サポートの意義

 昨年(2015年)介護報酬改定後の経営的な影響について取材をしていた際、ある特別養護老人ホーム(以下、特養ホームに略)の看護師長から「福祉の仕事に興味を持って下さるベテラン看護師は少なくないのだけれど、実際に入職すると長続きしなくて、離職して病院勤務に戻る人が多い。」という話を聞きました。現状の介護福祉経営の課題の1つに、『看護師の就業問題』がありますが、先の看護師長の話にもある通り『介護福祉業界に興味はあるものの、継続勤務が難しい看護師』は少なくありません。なぜこのようなことが起こっているのでしょうか。

 看護師が福祉施設を辞める理由としては幾つかありますが、まずは病院勤務等に比べて給与が低く設定されていることです。病院と同グループの社会福祉法人が運営する特養ホームであれば、施設と病院とが「同一賃金」の場合も多いようですが、一般的に福祉施設は病院勤務よりも、給与水準が低くなるようです。介護施設は多様過ぎて正確なデータは少ないのですが、訪問看護ステーションに勤務する看護師の給与は、医療機関と比較し平均して4万円低いとされています。昨年(2015年)の介護報酬改定で新設された「介護職員処遇改善加算」も、看護師には反映されていない施設が多いのが現実です。

 更にもう一つの理由としては、常勤医や他の医療スタッフがいないため、看護師に医療的な業務が全て集中し、余りにも多忙を極めるということ。ある特養ホームでは100人の入所定員で、5名の看護師が勤務していましたが、交代で休みを取るので、通常業務の実働勤務者数は約3名。夜勤は実質1名体制です。それだけのスタッフで100名の入所者だけでなく、ショートステイの利用者の方々の健康管理や薬剤管理、服薬指導までやらなくてはなりません。勿論薬剤師さんが不在のため、日常業務での薬のケアには限界があります。課題である認知症を中心とした高齢者の薬物有害事象の防止や、服薬アドヒランスの改善に関しては、薬の専門家ではない看護師にとって、大きな負担にもなっています。また、診療報酬と比べると介護報酬のパイは小さいために、施設経営者側が待遇改善したいと考えても限界があります。

 本年4月の診療報酬改定で、薬剤師が特別養護老人ホームに訪問し、ホームに入所する患者に薬学的管理をすると「薬剤服用歴管理指導料」(処方せん受付1回につき38点)が算定出来る様になったことは、多くの点から非常に意義のあることだと考えます。施設の看護師と調剤薬局薬剤師が協力して患者の「薬のケア」を実施することで、“お薬手帳”を活用しての服薬管理、服用歴に関する情報提供、更に一歩進んで主治医への疑義照会の徹底による多剤投与の是正等が可能になります。要するに特養ホームの日常業務の中で、「質の高い」在宅薬剤管理業務を進めることが出来るのです。

 病院に勤務する薬剤師には、服薬管理指導業務等のチーム医療の評価が既に導入されていますが、特養ホーム等においても薬剤師とのチーム医療が進められることにより、看護師達の負担は明らかに軽減されます。今後は地域包括ケアシステムの普及に向けて、在宅や施設における多職種ケアを評価する診療報酬や、介護報酬の改正が行われていくことになるでしょう。特養ホーム等でも、薬剤師が薬のケアに参加することは、看護師の負担を軽減し、看護師が本来業務に専念することで「ケアの質の向上」や、引いては看護師の離職防止にも奏功することが期待されます。

(医療ジャーナリスト 冨井 淑夫 / 編集:株式会社日本経営エスディサポート)

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